Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
柘榴石のように美しく深紅色に輝いて鏡の前におかれているオー・ド・キニーヌの瓶は、父を思い出させるだけ、よけい伸子に、クラウデの生活をいぶかしく思う感情をもたせた。舶来もののオー・ド・キニーヌ。そして、ブハーリンさんのお父さん。それらはみんなクラウデと、どんなゆきがかりを持っているのだろうか。伸子のこころに、えたいのしれないところへ来たという感じが段々つよくなりかかった。そのとき、大きなひびきをたてて入口のベルが鳴った。
「ああ、お客様でしょう」
出て行ったクラウデは、やがて一人の茶色の大外套を着た女のひとを案内して戻って来た。襟に狼の毛のついた外套をぬぎ、頭をつつんでいた柔かい黒毛糸のショールをとると、カラーのつまった服をつけた四十近い婦人が現れた。男も女も頬っぺたが赧くて角ばった体つきのひとが多いこのモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で、その中国婦人の沈んだクリーム色の肌や、しっとりと撫でつけられた黒い髪は伸子の目に安らかさを与えた。
時間を気にしているクラウデは、あわただしくその中国婦人と伸子とをひきあわせた。
「リン博士です。このかたの旦那様、やっぱり法学博士で、いまはお国へかえっておられます」