Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「わたし、お暇いたしますわ、お加減がわるくてお帰りになったんでしょう?」
「まあ、もうちょっとそうやっていて」
多計代もこの調子では夕飯のために外出はできまいから、いっそ、みんなうちで、日本弁当をとどけさせてすませるのも一つの方法だと伸子は思いついた。デュトの家の食事ばかりしている須美子に、日本風のさしみでも御馳走したいと計画していたのだった。
伸子は泰造に相談してみた。
「それもいいだろう。――だがおっかさんに一応きいてからの方が無事だよ」
寝室へゆくと、伸子が何とも云い出さないうちに多計代が枕の上から白眼がちの眼づかいで娘を見上げた。
「だれをお湯へいれたんだい」
ベルの音をきいたとき、まっさきに伸子の頭に閃いたのは、浴室にまだこもっているにちがいない湯気やシャボンの匂いのことだった。多計代は、つや子からきいて、もうわかっていないはずはないのに、伸子にそれをきくのは、悶着の口火のためなのだ。
しずかに友愛のただよっていた雰囲気は、いちどきに変った。多計代の状態のわるいとき、佐々の家族をおしつつむ不安な空気がみなぎりだした。それが、病気そのものについての不安ではなくて、神経的なものであるだけ、つましい気立ての須美子をいたたまらなくさせ、伸子も、気の毒でとめようがなくなった。