Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

室代ばかりがかさんで、本が買えない。

「それに僕がわるい習慣をつけちゃったんで、実はこのごろになってへこたれているわけもあるんです」

年齢にあわせて、どこかかたまらないところのある蜂谷の顔の上に善良な苦笑があらわれた。

「あすこへ行った当座、退屈だったもんだから、つい土曜日なんかにうちの息子や娘をさそって映画を見に行ったりしたんでね、奴さんたち、映画と支那飯は僕におごられるものときめてしまって、昨今は僕としちゃ相当の負担になって来たしね」

蜂谷の気質としてありそうなことであった。

「女学校へ行っている娘は、英語も少しはわかるし、あすこなら、きっとあなたもいられると思うな」

伸子がだまっているのを不承知ととって、蜂谷は、

「僕は、でまかせで云っているんじゃない」

眉をしかめたようにして見る表情で伸子を見て云った。

「あすこなら、僕が責任をもつ、――きめるでしょう?」

「――見もしないで?」

音のないほほえみが伸子の口元をゆるめた。

クラマールというところが、パリの中心からどのくらい遠いところに在るのかさえ伸子は知っていなかった。ヴェルサイユ門からクラマール行の郊外電車が出ている。