Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
先刻、北停車場から立って行った佐々の人々は、つや子までをこめて、何とそれぞれに人生への要求の多い人々だったろう。彼らは、その要求の一つを行動するかのようにパリから出発して行った。伸子が、パリにのこるということで伸子としての要求をあらわしているように。
須美子が、ね、というように車室の荷物棚の上におかれた二つの茶色鞄を目でさして、
「船では、ごくあたりまえの手荷物のようにして来てくれということですの。――喪服もおこまりなんですって」
しずかにそう云って、須美子がおかっぱの濃い前髪と美しい調和をもっている銀灰色の絹服に目をおとしたとき、伸子は、うちのものを送ったあとの心もちと須美子への同情とでみだれる感情を抑えきれなくなった。
「ね、須美子さん、わたし何だか、あなたをこのまんま一人で立たせられない」
須美子の手をとった。
「マルセーユまで行きましょう。まだ切符は買えるわ」
小さい腕に赤坊を抱いてわきに立っている青年に、伸子は、
「おそれ入りますが、切符買って来て頂けますかしら」
とたのんだ。青年は曖昧に答えて、どうしようという風に須美子を見た。
「そんなにまでして頂いてはすみませんわ、ほんとに、わたくし、大丈夫ですから……」