Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

ワルシャワのメーデー。雨あがりの薄ら寒く濡れた公園の裏通り。ピストルのようだった一発の音。伸子と素子とが逃げこんだカフェーのショウ・ウィンドウのガラスに押しつけられて、変に薄べったく血の気を失って見えた無帽の若い男の横顔。――情景は次から次へゆっくりと伸子の心の前を過ぎた。そのようにしてゆっくり過ぎて行きながら、そのひとこま、ひとこまが、それらの光景から伸子のうけとった感銘、伸子の抱いた判断の誤っていなかったことを、伸子にしっかりと確めてゆくのだった。

――みんな、ほんとだった。――

この確認は、伸子の精神をまじめにした。同時に、この理性の確認は、段々つよくなるよろこびの鐘の音のようなものを伸子の裡に鳴りたたせた。

――みんな、ほんとだった――

この中には、伸子がモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で暮した二十二ヵ月がほんとであり、いま、伸子の喉をつまらせている感動が、人間としてほんとのものであるという思いがこめられている。

伸子は英字新聞「エクセルショア」をもったまま、梨の木の下をあちらからこちらへ、こちらからあちらへ、と幾度も歩いた。伸子は素子と抱きあって、きつく互をしめつけたかった。