Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

天体は、宇宙そのものの力で充実しているから運行しながら互にぶつかりあうことが少い。――野沢義二はそんな風に生きようとしている人なのかもしれない。伸子はそう思った。それにくらべると、蜂谷良作は、全体が柔かくてふたしかで、潰れると液汁が出る。自分はどうなのだろう。ぼんやり考えながら、メトロにゆられていた伸子は急に目がさめたように、ああ、そうだ、こんやこそ忘れずに、帰ったら、手紙を書かなければ、と思った。最近になって伸子は、マダム・ラゴンデールの稽古をことわろうと思っているのだった。パリにいるのもあと半月たらずだったから、マダム・ラゴンデールの稽古のために、観たいものの多いパリの十一月の午後のまんなかの時間をうちにいなければならないことは、伸子にとって不便になって来ている。市内から遠くはなれたクラマールまで来るマダム・ラゴンデールのためには、月謝もよけい支払われている。

あと半月でパリにいなくなる――それは伸子にとってわかり切った計画だった。それがそんなにわかりきっていて、動かせないようにきまっているということが、伸子に奇妙に思えた。

十一

人々の眠りをさまさないように、伸子はそっと部屋のドアをあけて、廊下へ出た。