Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ある長方形の新聞包を脇の下にはさんで出て行った。
「――いそがなければ、いけないかしら」
蜂谷良作は、コーヒー茶碗をもっているもう一方の手首の時計をのぞいた。
「大丈夫でしょう、七時四十分までにモンパルナスへ行けばいいんだから」
ヴェルダン行の近距離列車はモンパルナス停車場から発車した。別の線をとおって行く国際学生会館の日本留学生の人たち四人と、ひるごろヴェルダン駅前のホテルの食堂で落ちあう約束だった。この間、蜂谷と伸子とが国際学生会館へその人々を訪ねたとき、誰もまだヴェルダン見物をしていないことがわかった。ちょいちょい話には出ているんだが、四人で、六人分の自動車代を払う勇気がないんでね。そういう話だった。そのとき、伸子はすぐ、わたしをつれて行って頂けないかしら、とたのんだ。一九一七年から八年、第一次ヨーロッパ大戦の終局に、ヴェルダンという名、ソンムという名は、畏怖なしにはふれられない二つの名であった。ドイツ軍にとって、それらのところは果しない潰滅の谷を意味し、連合軍にとって、そこは、果しない犠牲の谷であった。ヴェルダンをもちこたえた、その沈勇が連合軍の勝利を決定したと語られていた。