Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「わたしが、ときどき、どうしてこんなにくりかえすんだろう、もうわかっているのに、と思ったりしたのは、生意気至極のことだったと、わかったの」

蜂谷良作は、だまったまま、身じろぎをして灰皿の上でタバコをもみ消した。

「そしてね、もう一つわかったのはね、なぜソヴェトでは今でもレーニン廟へ参る人が絶えないかということ」

ロンドンの夏の日曜日、セント・ポール寺院の、その一段ごとに失業者が鈴なりになっていた正面大階段を見あげる石だたみの広場のはずれに、第一次大戦で戦歿したロンドン市民の記念塔がたっていた。「祖国のために死せる人々の名誉のために」と鋳つけられた記念塔は、セント・ポールに棲んでいるどっさりの鳩の糞をあびて、いかにもきたなかった。ロンドンの晴れた日曜日の風景の中で鳩の糞にまびれていたその記念塔を伸子は思い出した。生きている人は忙しい。痛切に社会のエゴイズムを感じた、その感じも思い出される。伸子のロンドン風景をつづっているのは利根亮輔の怜悧な黒い二つの眼と気のきいた形の鼻ひげの下で伸子に向ってほほ笑んだ独特の微笑である。もしも彼が、こんやこのヴェルダンでおそろしく深い沈黙の中にカルタをしている数人の人間を見ていたとしても、彼はリッチモンド公園の鹿の遊んでいる草原によこたわって、伸子に云ったようにモスク