Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
たしかに、ヴェルダンの一日、伸子は口数が少なかった。伸子の受けた感銘がそうさせたのだった。
「それは、わたしが感じたことは、言葉にすると、どれもこれもセンチメンタルみたいだったから……」
「ほかの連中がいなけりゃ、佐々さんはもっと自由だったにちがいなかったんだ。僕はそれが残念だというんだ」
伸子にものをいうひまを与えず、
「僕には、大体わからないんだ。伸子さんともあろうひとが、どうして、そんなにいつもセンチメンタルになることをおそれていなけりゃならないのか」
蜂谷の云いかたは腹をたてているように、圧しつけられた声だった。
「センチメンタルであるにしたって、それは感情の真実であり得る」
「それはそうね。――でも……感情の真実であっても、情熱の真実とはちがうことだってあるわ。感情と情熱とはちがうんだもの――感情を情熱といっしょくたにするのが、いやなの。――」
「僕にそんな区別はない」
「あら!――変だ」
云いかけた伸子の腕が並んでかけている蜂谷の手にとらえられた。
「――こんなひとが――もうじき行ってしまう」
体をしざらせようとして蜂谷の方へ向いた伸子の顔の上に、蜂谷の重い頭が急に落ちかかって来た。