Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
――伸子は、ゆっくりと、だが決定的な手つきで素子からのその手紙をひきさきはじめた。五年くらした二人の生活ではじめて、こうして素子からの手紙をやぶいている自分を意識し、そして、これは素子との生活における新しい何ごとかであるということを意識しながら。
暗く燃え乾いた眼を、煖炉の燠に据えている伸子の指は、やがて、自働的に動きだし、大きく二つに裂かれたままになっていた素子の手紙を、更にほそいたてにさき、またそれを、もっとこまかいきれにちぎって行った。舞台にふる紙雪のような手紙のきれは、伸子の手に掬われ、指の間からチラチラと寝台のかけものの上におとされる。また掬われ、またおとされ、手紙のきれは伸子の心に、初冬のモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の街の上に、そして、アストージェンカのかし間の、一つきりしかない内庭に面した窓にふるのだった。一つしかない窓いっぱいにデスクがおかれている。ダッタン人の男の外着のような太い縞の室内着をきた素子が、そこに向ってかけている。パイプをくわえているだろう。刈上げたかぼそいぼんのくぼを見せ、厚ぼったい部屋着が、大人のかり着めいて見えるなで肩で――。