Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

と云った。伸子は、全体としてそんな買物の意味がのみこめなかった。素子の横に腰かけたまま沈んだ眼色で、美しく光っている大小の銀の匙を見つめた。はきはき返事をしない伸子をゆすぶるように、

「ね、ぶこはどう思う? きいているんだよ」

「さあ、つかい道によるんじゃない?」

「いずれわれわれが使うのさ」

銀のスプーンを? その生活は、どこで、どんな生活だというのだろう……伸子にとってあんまり現実ばなれした感じだった。伸子は、

「あなたのをつけたら」

と云った。

「そんな気のない顔をしなくたっていいじゃないか。どうせ自分だってつかうときがあるのに――どっちにも通用するのを見つけなくちゃ」

吉見素子・佐々伸子。ローマ字綴りで二つの名を書いたとき共通なのはまずエスの字だった。それはロシア文字ではСだから、それ一つを飾り文字としては淋しすぎるのだった。店員と素子とは、飾文字の様式を集めたカタログをひろげて見ている。銀のスプーンそのものに興味をもてずにいた伸子の気持が、飾文字のデザインにひかれた。鉛筆をとっていろいろ書いてみているうちに、二つのСが、一つは大きく、もう一つは小さく、大きいСにひっかかって鎖の破片のように組合わされている形を見つけ出した。