Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

食堂でノーソフは正餐のサーヴィスをしても、心づけを全然うけとってはならないことになった。ノーソフにとって、このことは、僅かな金の問題よりも、むしろ、長年給仕として保って来た彼なりの職業上の誇りというか、生活の習慣にかかわる問題であるらしかった。というのは、伸子は、一週間ばかりして、ノーソフの上にあらわれたいくつかの変化に心づいたのだった。いつの間にか、ノーソフは御自慢の巻き髭にコテをあてなくなった。ある日の正餐のとき見たら、巻き上っていた彼の栗毛の髭は、平凡なチョビ髭にきりちぢめられていた。サーヴィスする手の小指にはめられている指環はもとのままであったけれど、彼のものごしにあった給仕独特のリズミカルな軽やかさは失われた。男給仕の水商売めいた曲線と弾力がノーソフの全部から急速に消えた。そのうちに廊下のテーブルへ通って来ていた婦人が交代して、年ごろは同じ二十五六歳だが、商業学校でも出たらしい亜麻色の髪の青年にかわった。台所と休憩室にまた話し声がしはじめた。その青年は、水色ヤカンを下げて台所へ湯をとりにゆく伸子にも、くちをきいた。

伸子は、パッサージで暮していた間、これまでも毎朝バターの切れを一つ、一ルーブル半で買っていた。