Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「おっかさんは、はア、あんまり字がうまくて、おらにはよめないごんだ」と。その祖母は、かけ硯のひき出しから横とじの帖面を出しては、かたまった筆のさきをかんで、しよゆ一升、とふ二丁と小づかい帖をつけているひとだった。こうやって、便箋の上から下まで一行をひと息に、草書のつながりでかかれている母の手紙をうけとると、伸子も、当惑がさきに立つ感じだった。簡単に云えば、伸子に母の手紙はよめないと云えた。それでも、それは母の手紙であったから、伸子は読めないと云うだけですまない心があったし、よめないまんまにしておいた行間に、何か大切なことでもあったりしたらという義務の感情で、骨を折るのだった。
さっき一遍よんだとき、読めなかったところをあらためて拾うようにして、その流達といえば云える黒い肉太の線がぬるぬるぬるぬるとたぐまっては伸び、伸びてはたぐまるような多計代の字をたどって行った。伸子は、こまかくよむにつれてはりあいのないような、くいちがっているようなきもちになった。そのよせがきには動坂の人たちが、食堂の大テーブルを囲んでがやがやいいながらてんでに喋っているその場の感じがそのまま映っているようだった。