Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

なく感じたのだった。伸子たちはわざといそがず、一番あとから出口に向って歩いて行った。めいめいが、荷物の全部であるスーツ・ケースを一つずつ下げて。――

若い画家の磯崎恭介と妻の須美子とが、白い服を着せた子供を抱いて伸子たちを迎えに来ていた。その若い家族の光景は、伸子につよい感銘を与えた。小さい子供の白い柔かな服のふくらがりが、北停車場の煤煙のしみこんだ黒くて太い鉄柵のところで異様に真白く、花弁のように見えたばかりではなかった。小さい子供がほとんど若すぎるようにさえ見える父親の腕にだかれてステーションの出迎えに来ていることは、パリでの磯崎恭介夫妻の暮しぶりをそのままに語ることだった。同時に磯崎夫妻をそのように生活させているパリそのものの生活断面でもある。伸子は、何の躊躇の感情もなく、まだ三十にもなっていない、夫婦で絵の勉強をしている磯崎恭介夫妻のつましいみちびきによって自分たちの前にひらかれた厖大なパリの生活のわれめへふみこんだ。

磯崎夫妻がパリの倹約な生活の四年間でどこよりも知っているのはモンパルナスであり、そこに彼らの生活の熱情がかくされていた。