Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
こういう街どおりにある荒物屋やパン屋の店も、日曜日のけさはしめられている。自分がデュトではない街の間を運ばれていることが伸子に疑いようもなくなって来た。何かの間違いだろうか。それとも、運転手に意図があるかしら。不安がつよくなった。どっちにしろ、あの角へ行ったら、タクシーを止めさせて、降りてしまおう。そう決心してつき当りに見えている古い壁を見つめながら伸子が緊張して座席からのり出したとき、ほとんど乱暴に伸子ののっているタクシーが、そこでとまった。運転手が伸子の方へ鳥打帽をかぶっている首をひねって、
「さあ、ここがディト街ですぜ」
と声をかけた。
「ディト?」
けげんに思って伸子はとまったタクシーの窓から首をさしのばして歩道のつき当りの塀にうってある円形の町名票を見た。そこにDITOTと書かれている。ほんとにディトという街もあったのだ。
「間違いよ」
伸子は、あわてながらやっと英語に近いフランス語の単語を見つけ出して、それらをきれぎれにつぎあわせながら云った。
「正しくない。わたしはあなたに告げた。デュト街と。デュト街へ行きなさい」
Rの音もUの発音も正確にできない伸子はベレーをかぶっている頭をふるように舌へ力を入れて、せめてめりはりの調子で運転手に自分の云う街の名をのみこませようとした。