Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ていた。そんな時刻には、三つ四つさきに向いあっているアメリカ娘たちの室のドアもあけはなされていて、内庭に面した側の室にいる娘はエリザベスとでもいう名でもあるのだろうか、西側の室の開けはなしたドア越しに、遠慮ない声で、
「ベス! あのひとのところへ電話をかけた?」
と云っているのがきこえて来たりした。あのひと、は男性で云われている。ベスとよばれた女の声が、平板に無味乾燥に、
「ええ」
と返事している。はなれたところからきいていると、それは、手紙をかくとか、物を縫おうとしているままで返事する声であった。無関心さがその声にあらわれている。あのひとに電話をかけた? という言葉からちょっとかきたてられそうになった伸子の好奇心がさまされた。伸子は部屋着のまま寝台の上にころがっている。揃えてのばしている爪先に力をいれてぐっと体をのばすと、赤坊がはだかにされたときそれをよろこび、膝小僧をひっこめて伸びをする、あんな風な気持よいこきざみなふるえが伸子の全身を走った。七月になろうとするパリの日盛り、空気は暑く灼けている。内庭にきこえている辻音楽師の自働オルガンの響。伸子は少しねむたい。