Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
伸子たちが入って行ったとき壁ぎわのディヴァンの上にまるまっていたその白黒まだらの小犬は、そのままそのディヴァンにかけた伸子の膝の上にのって来て、悧巧な黒い瞳を輝やかしている。伸子は、その犬を寵愛しているらしい女主人の気持を尊重する意味で、膝にのせたまま、ときどきその犬を撫でながら、素子との話をきいていた。
そこへ、ドアのそとから、声をかけて、全くアメリカ好みのスケート用白黒模様のジャケットを着た若い大柄の男が入って来た。ヴェラは、小テーブルのわきへ腰かけたまま、
「わたしの良人です。ニコライ・クランゲル――ソヴ・キノの監督――日本からのお客さまがたよ」
と伸子たちを紹介した。
「こちらは」
と素子をチェホフの翻訳家として、
「そちらは、作家」
と伸子を紹介した。
「お目にかかってうれしいです」
クランゲルは、握手をしない頭だけの挨拶をして、グットネルがこの部屋へ入って来たときしていたように、入口のドアに背をもたせて佇んだ。くすんだ鼠色のズボンのポケットへ片手をつっこんで。――
伸子たちにききわけられない簡単な夫婦らしい言葉のやりとりでヴェラはニコライに、二言三言なにかの様子をきいた。