Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
バスの停留場から更に淋しい疎林のある雪道を二十分も行った空地の一方の端に、ロシア式丸木建の新しい家がたっていた。ここは部屋の内部も丸木がむき出しになっている建てかたで、床の塗りあげもまだしてなかった。ガランとした室に白木の角テーブルが一つあった。室へ案内したそこの主婦は堂々として大柄な四十ばかりの女で、ほそいレースのふちかざりのついた白い清潔なプラトークで髪をつつんでいた。重い胸の前に両腕をさし交しに組んで戸口に立ち、いかにも彼女のひろい背中のうしろに、一九二一年の新経済政策以来きょうまでの世渡りのからくりはかくされていると云いたげに、きつい大きい眼だった。主婦は、伸子たちの着ている外套の生地やそれについている毛皮をさしとおすような短い視線で値ぶみしながら、愛嬌のいい高声で、その辺の空気がいいことや、前は原っぱで景色のいいことを説明し、一ヵ月分として郊外にしてはやすくない部屋代を請求した。
家具らしいものが一つも入っていず、きつくチャンの匂うその新築丸木建の室の窓からは、貧弱な楊が一二本曲って生えている凹地が見はらせた。いまこそ一面の雪で白くおおわれて野原のように見えているが、やがて雪がとけだしたとき、その下から広いごみすて場があらわれることはたしかにみえた。