Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「わたし、びっくりしちゃった」

歩きながら伸子が云った。

「あんな風に出来るのねえ。わたしは、本気で行くさきを考えて、苦心したのよ」

「ああでいいのさ」

日本服なら、片手はふところででもしていそうな散歩の気分で素子が答えた。

「先手をうてばいいのさ」

「――あの宮野ってひと……どういうんだと思う?」

まだこだわって、伸子が云い出した。

「ぶこちゃん、だいぶ神経質になってるね」

「たしかにそうだわ。曖昧なんだもの――西片町の兄さんだのって――誰だって外国にいるとき、お金のことはもっと本気よ。まるで帰れと言われればすぐ帰る人間みたいじゃないの。あの話しぶり……」

宮野という男が、室を出入りするとき妙にあたりの空気を動かさないで自分の体だけその場から抜いてゆくような感じだったことを思い出して、伸子は、それにもいい心持がしなかった。たとえば内海厚という人などにしても、どういう目的で秋山宇一と一緒にソヴェトに来ているのか、伸子たちにはちっともわかっていなかった。秋山宇一が日本へかえっても、彼だけはあとにのこるらしいくちぶりだけれど、それとてもモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でどんな生活をやって行こうとしているのか、伸子たちはしらない。