Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「あなた不思議だと思わない?」
くつろいでいる全身に、金ぶち飾りのついた天井からの隈ないシャンデリアの光を浴びながら伸子がまたつづけた。
「アンナ・シーモヴァとゴーリキイと、どこか共通な感じがあるのに気がついた?」
「――そうかなあ」
ベッドよりに置かれているテーブルのはじに左肱をかけて、タバコのついていないパイプを指の間でいじりながら、素子がのみこめなさそうな眼ばたきをした。
「そう云えば、あのひとたちは、どっちも働く人の中から出ているんだから、そういう意味では共通な感じがあるかもしれない」
「そればかりじゃなく――革命を経験した人たちだというだけでもなく。――ゴーリキイはあんなに人間で、まるで人生そのものみたいに見事で、それで日向の年とった糸杉の匂いのようなまじりけない男が感じられたでしょう。アンナ・シーモヴァに、似たものが感じられるわ。あのひとの人間らしさに、くっきりと女がはめこまれているわ」
「…………」
素子はだまってじっと伸子を見つめた。そして、無意識な手つきでからのパイプを口に咥えた。伸子は、窓の前をゆっくり行ったり来たりしはじめた。窓からは、広く暗いネ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の面を越して対岸の街燈が淋しくまばらに見えている。