Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
歌舞伎が来れば、どうせまたレーニングラードへも行くのだからと、旅のつづきのようにホテル住居している気分のなかで、伸子は言葉すくなに人々の話をきき、話している人々の顔を眺めた。
八月のはじめデーツコエ・セローのパンシオン・ソモロフで、保が死んだ知らせをうけとってから、伸子はすこし変った。いくらか女らしい軽薄さも加っている生れつきの明るさ。疑りっぽくなさ。美味いものを食べることもすきだし知識欲もさかんだという気質のままにソヴェトの九ヵ月を生活して来ていた伸子は、自分が新しいものにふれて生きている感覚で楽天的になっていた。どこかでひどくちがったものだった。ソヴェトの社会の動きの真面目さから自分の空虚さがぴしりと思いしらされる時でも、その痛さはそんなに容赦ない痛さを自分に感じさせるという点でやっぱり爽快であった。
保が死に、その打撃から一応快復したとき、伸子と伸子がそこに暮しているソヴェトとの関係は伸子の感じでこれまでとちがったものになっていた。保は死んでしまった。伸子はこれまでのきずなの一切からはたき出されたと自分で感じた。はたきだされた伸子は、小さい堅いくさびがとび出した勢で壁につきささりでもするようにいや応ない力で自分という存在をソヴェト社会へうちつけられ、そこにつきささったと感じるのだった。