Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
伸子は、М・Х・Тの演出方法の詮索よりも、その成功した効果でひきおこされた人間的感動に一人の見物としてより深くつつまれているのだった。
一座の話が自然とだえた。そのとき、どこか遠くから、かすかに音楽らしいものがきこえて来た。
「あれは、なに?」
若い動物がぴくりとしたように伸子が耳をたてた。
「マルセイエーズじゃない?」
粉雪の夜をとおして、どこからかゆっくり、かすかに、メロディーが響いてくる。
「ね、あれ、なんでしょう?」
秋山が、一寸耳をすませ、
「ああ、クレムリンの時計台のインターナショナルですよ」
と云った。
「十二時ですね」
きいているとやがて、重く、澄んだ音色で、はっきり一から十二まで時を打つ音がきこえて来た。金属的に澄んで無心なその響は、その無心さできいているものを動かすものがあった。
「さあ、とうとう明日になりましたよ、そろそろひき上げましょうか」
みんないなくなってから、伸子は、カーテンをもち上げて、その朝したように、またそとをみおろした。向い側の普請場を、どこからかさすアーク燈が煌々とてらし、粉雪のふる深夜の通りを照している。銃を皮紐で肩に吊った歩哨が、短い距離のところを、行って、また戻って、往復している。