Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「チョン髷のきりくちへ、いきなりイプセンがくっついたようなもんだもの」

「問題が問題ですから、てまがかかりましょうが、ともかく何とかやって見るつもりです」

そう云ってしばらく考えていた吉之助は、やがてもち前の熱っぽい口調で、

「私生活からでも、思いきってかえて行ってみるつもりです」

伸子には、吉之助が決心を示してそういう内容がすぐつかめなかった。歌舞伎俳優として、しきたりのような花柳界とのいきさつとかひいき客との交渉とか、そういう点を整理するという意味なのか、それとも別のことなのか、判断にまよった。同じようにすぐ話の焦点のつかめなかったらしい素子が、

「私生活っていうと?」

とききかえした。

「粋すじですか」

そうきいて、素子はちょっとからかう眼をした。

「わたしは、そっちはどっちかっていうとほかの人たちよりあっさりしているんです。自分がつくらなけりゃあそういう問題はおこらない性質のものでしょう。わたしのいうのは主に結婚生活ですね」

ひろがっていた話題が、再び急に渦を巻きしぼめて、吉之助は知らない素子の感情の周辺に迫って来た。

「うまく行きませんか」

「――わたしの場合はうまく行きすぎているんです。