Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「やあ素敵だ! あんな隅が、まるで近くに見えらあ」
ピオニェールは、オペラ・グラスを目にあてて、そう大きくもないエクスペリメンターリヌイ劇場の円天井のてっぺんだの、下の座席だのを見まわした。そのころモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)では万年筆だの時計だのが珍しく思われていた。そのピオニェールがオペラ・グラスをはじめて見たということは本当らしかった。でも、ピオニェールが、オペラ・グラスを目にあてがって、あすこも見える! こっちも見える! とはしゃぐ有頂天ぶりは何か度はずれだった。伸子は、
「ほんとにそんなによく見えるの?」
そのピオニェールにきいた。
「そのグラスはもう古くて、よくない機械でわたしたちには舞台を見るにも不便なのに」
オペラ・グラスは、伸子の母親が誰からか外国土産にもらって長い間つかい古したものだった。小さいねじで、レンズが倒れて、オペラ・グラス全体が薄くたたまれる。それが手ごろで、伸子はもらって来たのだった。
伸子がそういうと、ピオニェールはレンズを目からはなして、瞬間かたまったような笑い顔で伸子をじっと見た。
「それ、ほんとですか」