Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

と瀬戸ものの札のうってある一つのドアをあけた。

「――まあ……」

伸子は思わず、その浴室のずば抜けた広さに笑い出した。古びて色のかわった白タイルを張りつめた床は、やたらに広々として、ところどころにすこし水のたまったくぼみがある。やっぱり白タイル張りの左手の壁に、ひびの入って蠅のしみのついた鏡がとりつけてあって、その下に洗面台があった。瀬戸ものの浴槽は、その壁と反対の側に据えられているのであったが、そんなに遠くない昔、すべてのロシア人は、こんなにも巨大漢であったというのだろうか。長さと云い、深さと云い、古びて光沢のぬけたその浴槽は、まるで喜劇の舞台に据えられるはりぬきの風呂ででもあるように堂々と大きかった。焚き口とタンクとが一つにしくまれている黒い大円筒が頭のところに立っていて、焚き口のよこに二人分の入浴につかう太い白樺薪が二三本おかれている。このうすよごれて、だだっぴろい浴室を、撫で肩でなめらかな皮膚をもった断髪の素子が、自分のゆたかで女らしい胸もとについて我から癪にさわっているように歩きまわりながら、時々畜生! と云ったりするのを思うと伸子は、実にユーモアを感じた。