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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

素子と伸子との座席は丁度第一列の中央通路から一つめと二つめだった。素子の右手はゆったりした幅の通路で区ぎられており、その隣りにいるのは伸子で、あとずっとその列に空席がなかった。

オペラとバレエだけを上演する国立大劇場とくらべれば、エクスペリメンターリヌイ劇場は、上演目録も『ラ・ボエーム』『ファウスト』『トラヴィアタ』という風なもので若い歌手たちの登場場面とされていた。すべてが小規模で、舞台装置もあっさりしているけれども、その晩の『椿姫』は魅力的であった。ソプラノが、いかにも軟かく若々しい潤いにとんだ声で、トラヴィアタの古風で可憐な女の歓び、歎き、絶望が、堂々としたプリマドンナにはない生々しさで演じられた。歌詞がロシア語で歌われるために、流麗なメロディーにいくらかロシア風のニュアンスがかげを添え、その晩の『椿姫』は、プーシュキンでもかいた物語をきくような親しみぶかさだった。伸子は、体のなかで美しく演奏されたオペラのメロディーが鳴っているような暖くとけた心持で劇場を出た。パッサージ・ホテルまで歩いて、そこで素子とお茶でものんで、伸子はそれから電車でアストージェンカの住居へ帰るのだった。