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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

それといっしょに伸子は黙ったまま猛烈な勢で電車の奥へ人ごみをかきわけて突進しはじめた。伸子はすりという言葉を知らなかった。泥棒という言葉も思いうかばなかった。咄嗟に叫ぶ声が出なかった伸子は、ぐいぐい人をかきわけて奥へすすみ、停留場へ着く前に自分で赤ネクタイをつかまえようとした。

車内を四分の三ぐらいまで進んだとき電車はとまった。そして、すぐ発車した。車内には赤ネクタイの端っぽさえ見あたらなかった。ピオニェールは完全に逃げおおせた。

そのときになって、伸子はやっと口がきけるようになった。まわりの乗客たちは、黒い外套を着た小柄な外国女がピオニェールのなりをした小僧にスモーチカを盗られたという事実を知った。乗客たちは、そんな小僧の素早さや、つかまりっこのないことを知りぬいているらしく、伸子の災難に同情しながらもきわめて平静だった。伸子が一文なしになったから、電車からおろしてくれ、友達のところへ帰る、と云うと、二三人の男が運転手に声をかけた。電車はすぐとめられた。

まだかなり人通りのある夜ふけの雪道を、いそがずパッサージ・ホテルに向って歩きながら、伸子は亢奮している自分を感じ、同時に、ピオニェール小僧のやりかたに感歎もした。