Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「ありがとう」

ブッチェ・ドーブルイと云うとき、女の声は入れ歯の声だった。伸子はゆうべのまぶしさとうるささとがこんがらかっていた気持を夢のような感じで思いだした。

素子が午後になって来た。

伸子の運びこまれたのはモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)大学の附属病院だった。面会時間が午後の二時から四時までだった。伸子の胆嚢と肝臓とが急性の炎症をおこしているのだそうだった。

「胆嚢って、ロシア語で何ていうの」

「ジョールチヌイ・プズィリだよ」

「ふーん。ジョールチヌイ・プズィリ?」

「たって来る前、ぶこ、胃痙攣みたいだったことがあったろう、あのときから少々あやしかったらしいね」

「どうして、炎症をおこしたの?」

「わからないとさ、まだ」

全身こわばって身うごきの出来ない伸子は、二つの重ねた白い枕の上に断髪の頭をおいたまま、苦痛のある患者につきものの鈍い冷淡なような眼つきで、フロムゴリド教授をじろじろ観察した。フロムゴリド教授は、何てごしごし洗った、うす赤い手をしているんだろう。その手を、白い診察衣の膝に四角四面において、鼻眼鏡をかけて、シングルの高いカラーに黒ネクタイをつけ、ぴんからきりまでドイツ風だ。