Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「おかげで、スープをとったかすの鶏のカツレツばっかりたべさせられてる」

伸子は、枕の上にひろげて頭にかぶっている白い毛糸レースのショールの中で笑った。

「大丈夫よ。わたしはまだ濃いスープはだめなんだから、かすになりきっちゃいないわよ」

その年の冬は厳冬の季節がきびしくて、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で零下二五度という日があった。電車もとまった。伸子の病室の雪明りはその明るさに青味がかったかげをそえた。頭の上の二重窓の内側のガラスの隅にかけたところがあって、その小さい破れからきびしい冷気が頭痛をおこすほどしみて来た。その日伸子は湯あがりにつかう大きなタオルを頭からかぶって暮した。翌日素子にもって来てもらってそれから、ずっと伸子がかぶってねている白い羊毛レースのショールは、ヴォルガ沿岸のヴィヤトカ村の名物だった。去年の秋伸子と素子が遊覧船でヴォルガ河をスターリングラードまで下ったとき、ヴィヤトカの船つき場をちょっと登ったいら草原のようなところで、三四人の婆さんがショールを売っていた。雨が降ったらひどくぬかるみそうな赭土が晴れた秋空の下ででこぼこにかたまっていて、船つき場から村へ通じる棧道がヴォルガの高い石崖に沿ってのぼっていた。