Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

そのとき伸子はもうずっと佃の家からはなれ、動坂の生家にいた。父親のデスクの前にたって六法全書のその頁をひらいたまま、ほんとにあのときは体も頭も一時にしびれてゆくようだった。佃はこの法律を知っているだろうか。伸子は恐怖の稲妻の下でそう思った。妻という立場の自分からは離婚もできないのだろうか。伸子は毛穴から脂をしぼられるような苦悩で、夫は妻に同居を要求する権利がある、という文句や夫の許可なくして妻が行うことのできない様々の行為をよみ、やっと協議離婚ということは、妻からも求めることができるとわかったとき。これで救われたと思った次の瞬間、伸子は一層残酷な恐怖にとらわれた。もし佃が、協議離婚をうけつけなかった場合はどうしよう。いつもの彼の云いかたで、それは伸子の望むことであるかもしれないが自分としては考えられもしないことだ、僕の愛は永久に変らない、と云って、その手続のためになくてはならない署名や捺印を拒んだら。――それは佃がしようと思えば夫としてする権利のある復讐なのだった。

うしろの往来では十一月の北風に砂塵がまきあげられている代書人の店先の土間の椅子にかけて、協議離婚の書式がげびた代書人の筆蹟でかかれてゆくのを、くい入る視線で見つめていた自分のコートを着た姿。