Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
――え? 誰が知っちゃいるもんか! わたしは癒ったっていうのに、医者は癒っていないっていう。あけてもくれても一つことだ」
女はおこった大きな声でしゃべった。大病室の方はしずかだった。廊下越しに、彼女の病床がそっちにある大病室の仲間たちにも、伸子の室で自分が云っていることをきかせようとしているようだった。伸子は荒々しい生活の中に年を重ねて来たらしいその女の上気して毛穴のひらいた顔を見つめた。亢奮しているばかりでなく熱が出ているらしい眼のうるみ工合だった。伸子は、また、
「寒くないのかしら」
と気にした。
「ニーチェヴォ」
そんなことではぐらかされるものかという風に伸子の注意をしりぞけて、女は一層声高につづけた。
「わたしが早くかえらしてくれっていうと、ここのドクターと看護婦はいつだって、お前さんのことを引合いに出すんだ。あの日本の女のひとを見ろって、さ! 若くって、遠いところから来て一人ぼっちでねていて、友達が来るだけなのに、もう二ヵ月近く、いっぺんだって苦情を云ったことがないって。食べものについても、治療についても辛抱づよいって。わたしもお前さんに見習えっていうのさ!――ばかばかしい※(感嘆符二つ、1-8-75)」