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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子は、胸のなかへ楔をさしこまれるように肉体の苦痛を感じた。多計代が、伸子に対するあの昔から独特なひとり合点と熱中とでなまじい頭の動くまま、藤原威夫に何を話したのかと思うと、伸子はわが身のやりどころのない思いだった。それが伸子という娘に対する多計代の母の愛だというのは何たることだろう。伸子は、苦々しげに堅くほほえみながら云った。わたしは母にはもとから評判がわるくて。――さぞエゴイストだって云っていたでしょう。すると、藤原威夫はいま伸子を見ていると同じ冷静な表情で多計代をも観察したらしく、そうでもなかったですよ、と云った。感服もしておられたです。入院してからよこされたあなたの手紙にちっとも悲観の調子がないと云って。しかし、去年の夏ですか、弟さんが亡くなられたのは。それからあなたがちっとも手紙に思想上のことを書いてよこされなくなったのを心配しておられたでしょう。まあその点についても私からよく云ってあげましょう。

多計代にとって、藤原威夫が何ものだというのだろう! 伸子は体がふるえる思いがした。多計代は、子供のことについては自分が誰よりも理解しているというくせに、現実ではいつも、思いがけない他人のわが子に対する批評をきいてまわり、その言葉に影響されている。