Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
和一郎と小枝にとって、ましてつや子にとってそういう旅行をする機会がまたいつあろうとも思われなかった。若い連中への思いやりとはおのずからちがったニュアンスで、父と母とがその立場や境遇にふさわしくこの旅をたのしむことを想像すれば、それはやはり伸子にやさしい思いを抱かせるのだった。できるだけみんなを満足させ、その上でみんなはシベリアをとおってなり、アメリカをぬけてなり、都合のいいように帰ればいい。そして自分はまたモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ戻ってくればそれでいいのだ。自分はうちのものみんなと、どうしても帰らないと気分がきまればきまるほど、伸子はさっぱりしたこころで、一家の旅行が愉快に始められることを希望するようになった。
翌日、素子が来たとき伸子は、彼女の顔を見るなり、
「ねえ、わたし、少し希望が出てきたわ、みんなが来るということについて」
嬉しそうに快活に言った。
「わたしはね、早くよくなって、フランスまで出かけて、まめによくみんなの面倒をみてやってね、帰れなんて言われないようにする決心したのよ」
熱心な思いを浮べて話している伸子の顔をじっと見つめ、素子は非常にまじめな複雑な表情で、彼女の大きめな唇の隅をゆっくりつりあげた。