Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、その生活の液汁は、伸子の胸をすっとさせ、眼の裡を涼しくさせるような醗酵力はもっていなくて、或るときは熱く、あるときはつめたく、そしてときには壜がはりさけそうに苦しく流れこんで来るにしても、伸子はかたときもそれに無心におしながされることが出来なかった。中流の環境としてみれば、伸子の周囲は平穏ではなかった。けれども、波瀾そのものが、伸子にいつでもそれと一致しない自分の存在についてつよく感じさせるたちのことばかりだった。その苦しさのぎりぎりのようなところで、伸子はモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来たのであった。

息苦しい存在の壜のようなものが熱量のたかいモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)生活でとけ去って、観ることのこんなにもうれしい自分、感じることがこんなにも愉しい自分、知ってゆくことの面白さで子供っぽくさえなっている自分がむき出しになっていることを発見したとき、伸子は自分とモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)とを、抱きしめた。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でのすべての印象は、日本の生活でそうであったようにせまい漏斗で伸子の内面にばかりたまりこまなかった。