Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
カフェーだがね。なかじゃ、あんまり話ししない方がいいんだ」
土地なれない伸子と素子にそう注意してから、川瀬勇は一軒の小さなカフェーのドアを押して、女づれ二人をさきに入れた。
労働者地区にあるカフェーらしく、小さいテーブルと鉄の椅子がせまい店内におかれていて、カウンターにおかれた二つのニッケル湯わかしが唯一の装飾になっている。カウンターのうしろに、頭のはげたおやじが縞シャツの腕をまくりあげて立っていた。半ば裸体になった女の蒼い顔を大映しにした映画のビラがよこての壁に貼られてある。
川瀬は、すぐココアを三つ注文した。窓ぎわの席を選んでかけた川瀬からはななめうしろ、伸子たちに正面を向けるテーブルに、つれもない四十がらみの男が一人かけていた。椅子の上に両股をひろげてかけて、片手をズボンのポケットにつっこんでいる。からのコーヒー茶碗がその男の前のテーブルにのっていた。通りからそのカフェーへ入って来た途端、伸子は、川瀬がこのノイケルンでどういうカフェー風景を見せようとしたのか、察しがついた。伸子が思い出したのはワルシャワのメーデーの朝、素子と二人で逃げこんだカフェーにいた男たちのもっていた感じだった。