Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
あるところへ来たとき、いきなり伸子は全身で爪立って、花束を大きく左から右へ、右から左へとふりはじめた。父の泰造が見つかったのだった。つづいて、つや子がわかった。小枝もいる。母が見えた。そして、和一郎も。
船の上でも、まばらな波止場人足の間にぽっちりと一人まじって、花束をふっている伸子を見わけたらしかった。そこにざわめきがおこって、泰造が盛に帽子で合図をはじめた。つくん、つくん、とび立つような子供らしい手のふりかたで、つや子があいさつをよこした。多計代も和服のたもとをひるがえして高く手をあげた。
それにこたえて、伸子は花ばかりでなく、こんどは青い犬ころと人形とを、ゆるく大きく、輪をかくようにふりまわしはじめた。船の顔々がそれを見おろして笑っているのがわかった。伸子も、笑いながら、
「みんなの顔が見えることよウ」
と叫び、ますます陽気に犬ころと人形とをふるのだったが、そうやって賑やかに笑っている伸子の眼のなかには涙がにじんだ。
何という多計代の変りかただろう。伸子が東京を立って来たころは、いつもふっさりと結ばれていて、多計代らしい派手ごのみだったひさし髪は、ひきつめられて前がみのほとんどない、髪のゆいぶりにかわっている。