Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「そりゃそうでしょうけれど」
なお執拗に多計代はこだわった。
「ひとをふみつけるにも程がある――」
「おかあさまあ」
いとわしそうに、悲しそうに、つや子が大粒のダイヤモンドで飾られている母の手をひっぱった。
食堂につづいたテラスへ出てコーヒーをのみながら、多計代は、船旅の模様を知らない伸子あいてに、また大高の話題へもどった。ひまをもてあましているカトリ丸の一等船客たちのサロンで、飛行将校である大高が、自分の優越感をたのしみながら、愛国の情に感激した調子で、飛行機の秘密をさぐるためにイギリスへ派遣されてゆくことについて講演したりした雰囲気が、多計代の話ぶりから伸子にもまざまざと描かれた。
「どんな小さい秘密でも、知る機会があったら国のために協力してほしい、なんて云っておきながら。――あの様子を見せられちゃ、口車だとしか思えやしない」
大高の上陸第一夜の放蕩についてそれほど不機嫌になって拘泥する多計代の心理を、伸子は単純に、いつもの母の正義派がはじまったとだけ理解した。
「ひとのことはひとにまかせておおきなさいよ、おかあさま」
伸子は、淡白に云った。
「外国へ来て、ひとはどうせいろんなことをするんだもの。