Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
静かなプルヴァールに繁ったマロニエの梢を見下す客室の露台から、たっぷりした風がはいって来て、廊下をとおり向う側の小部屋の窓から吹きぬけた。建物のそっち側の窓々は裏通りに面していて、四七番地の建物は四角く街角に建っているのだった。おおまかな間どりで、どっしりした食器棚やテーブルのおかれている食堂の気分や、煖炉がきられていて、ルイ式の家具の置かれている客室などは、その古風さが泰造や多計代に似合った自然な落つきだった。
多計代は、客室のソファで風にあたりながら、
「ああ。やっとこれで、わたしもパリへ来たという気がする」
銀糸のはいった夏の丸帯の前で、帯あげをゆるめて、ため息をついた。あけはなした食堂との境に立っていた小枝が、痛いほどぎゅっと伸子の手を握りしめた。そのきもちがあんまりぴったり同感されて伸子は思わず笑った。ほんとに、このアパルトマンが多計代の気にいったのは、何とよかったろう。両親夫婦とつや子が暮すにはおあつらえ向きの室数で、しかし、もう一組はいっては無理な間どりだということは、和一郎と小枝を解放する自然な条件であるばかりでなく、伸子にとっても重大な意味があった。