Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
短い否定の言葉に、最もつよい積極の意味が表現されている。そのことに伸子はうなずくのだった。
「デイリー・メイル」をよんでいる泰造が、七月二十三日の事件について、どんな感想をもつだろうか。注意ぶかくなっていた伸子は、この場合にも泰造が全然よそごととしているのに安心し、こころひそかなおどろきも感じた。これが日本のなかのことでもなく、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でもない国フランスにいる、そのことで、泰造は気楽になっている。伸子は改めて、どこにいても同じように神経のたった女の鋭さでかんを働かしている多計代の感受性について考えた。
七
街々のマロニエの緑の色をこころよく甦らせて夕立があがった日の午後五時すぎ、伸子はペレールの両親のアパルトマンを訪ねた。うすぐらい入口のドアの前にたってベルをおした。しばらく答えがなくて、もう一度鳴らした。ドアをあけたのは、通い女中のマダム・ルセールではなくて、はれぼったい顔色をしたつや子だった。
「ああお姉さま!」
つや子は体ごとすりつくようにして、伸子の手をひっぱった。
「来て……」
つや子のその様子は普通でないのに、アパルトマンは、しんとしていた。