Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「なんにもお前がどうこうっていうわけじゃないさ。だけれど、和一郎たちの味方をするのはいつも伸ちゃんじゃないか」
「そうお? 椅子をふりあげても、わたしは和一郎に味方して? お母さまも和一郎も、感情的にひっかかってごたついてばかりいたってはじまらないから、わたしは、実務的なことは実務的に片づけた方がいいでしょうと云っているだけだのに」
泰造は、ひとことも口を利かずアーム・チェアにもたれて腕組みをしている一方の手で、ときどき目立たないように上歯の義歯を動かしている。重苦しい気分のとき泰造のあらわす癖だった。つや子はさっきから、母親と姉とのけわしい話声にはじき出されたように露台にいた。手摺りにもたれて、街燈がマロニエの並木を下の方からてらしている夜の静かなブルヴァールを見下している。日本を立つとき着せられて来たまま、ずっとそれを着ている草色のスカートのたけがつや子には短かすぎて、露台の手摺にもたれこんでつり上ったスカートのうしろと靴下の間から、ちらりとふとったみが見えている。それは、いかにも身のまわりをこまやかに見まもってくれる者をもたない、中途半端な年ごろの少女の可哀そうな後姿だった。