Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
「たったそれだけの事か」
「たったそれだけで沢山じゃありませんか、ね、親分」
気の早そうな喜三郎は少しむくれるのです。親分の石原の利助の昔の競争相手で、利助が中風で動けなくなってから、利助の娘の、出戻りのお品を助けて、ツイ銭形平次が、陰に日向に力になってやり、何時とはなしに、石原の子分衆を、自分の子分達のように考える癖がついて居りましたが、由良松や喜三郎にして見れば、それが又幾分の苦々しさでないことも無かったのでしょう。
「自分の拵えた味噌汁に毒を仕込んで、自分だけ嘗めてもみずに、外の物を皆んな殺すというのは、企みが太過ぎて却って変じゃないか、その上、自分の身に疑いがかかりそうになって、あわてて俺のところへ飛込んで来たのはどういうわけだろう、――俺はよっぽど若い女に甘いとでも思われるのかな」
平次は真剣にそんな事を考えて居るのでしょう、頬を押えた十手の白磨きが、窓から入る青葉の陽に反映して温かそうに光るのも、妙に悩ましいシーンでした。
「若い女に甘えのはあっしで」
八五郎は助け舟みたいに、長い顎を突出すのでした。
「それにしても、あの娘には、佐渡屋の家中の者を皆殺しにするわけは無いじゃないか」