Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
「それは、多の市さん」
佐の市は驚いて口を出しました。主人と同年輩の四十五六、同じ稼業には相違ありませんが、これは人に金を貸す方ではなく、始終借りている方で、酒も呑み、遊びも好き、身装も相当で、内々は富籤までも買っているといった山気のある按摩でした。
「それから」
平次はそれに構わず問い進みました。
「十年前に別れて、今でも時々無心に来る女房のお皆も薄々は知っております。それに隣のお角さんだって、小判の音ぐらいは聞いているでしょう、それから――」
「…………」
多の市はちょっと考えましたが、
「娘にちょっかいを出している経師屋の吉三郎の野郎だって娘から聞いていないとは言われません」
「それっきりか」
「ヘエ――」
多の市は覚束なくも言い切ります。その間にも、修験者の道尊坊は、護摩の煙を濛々となびかせながら、揉みに揉んで何やら祈り続けているのでした。虎髯の四十男で、あまり智恵のありそうな人間ではありませんが、様子と声の物々しさに、妙に狂信者の心を囚えそうなところがあります。
「この家を明けるような事はあるまいな」
「それはありません。何と言っても、千両近い金があるんですから、私が仕事に出る時は、必ず娘に留守番をさせました」