Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
「刃が厚いからだ」
平次も下がりません。
続いて、その晩着ていた、お吉と弥助の着物を出させましたが、どっちにも血の飛沫いた跡もなく、洗った跡もないのです。
「綺麗だな」
独り言のように平次。
「血が付かないわけだ。剃刀を逆手に握って、後ろから引っ掻くように切ったんだ」
源吉は手真似をして見せました。お菊の後ろから近づいて、何か声をかけながら、咄嗟に剃刀を喉へ廻し、肩を押えてやった――と見たのでしょう。
「逆手に持って肩を押えながら切った剃刀なら、傷は上向きに引かれるはずだ、――これは刃物の入ったところから下向きに引かれているぜ」
平次の推理は仮借もありません。
「が――」
「前から切ったのだぜ。三つ股の兄哥、剃刀じゃない。脇差で前から切るとこうなる」
平次は手真似をして見せました。
「前から脇差で切られるのを、声も立てずに待っていたのかい」
と源吉。
「知ってる人だ、――お菊のよく知っている人だった。眼の前へ来るまで自分が斬られるとは思わなかった――」
「それにしても脇差を抜くのを黙って見ていたというのかい」
源吉はなかなか承知しません。
「…………」
平次は何か言いかけましたが、聞いている者が多いのに気がついたか、そのまま口を噤んでしまいます。