Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
紫の烟が、春の光の中にゆらゆらと流れると、どこかの飼い鶯の声が、びっくりするほど近々と聞えます。長閑な二月の昼下がり、――
「因縁も糸瓜もありゃしません、――寺島に住んでいる物持の佐兵衛、瓢々斎とか何とかいって、雑俳の一つも捻る親爺で、この男が、長い間の大酒で身体をいけなくし、フッツリ不動様に酒を断ったについては、今まで物好奇で集めた瓢箪が三十六、大きいのも小さいのも、良いのも悪いのもあるが、持っているとツイ酒を入れてみたくなるし、人様に差上げても、酒を入れるより外に用事のない品だから、思い切って向島土手に埋めて供養塔を建てようという趣向で――」
「なるほど少し変っているな」
「三十六の瓢箪を自分の手で穴に埋め、その上に『瓢箪塚』と彫った石を押っ立て、坊主が三人にお客が五十人ばかり、引導を渡して有難いお経を読んで貰って、それから平石へ行って一と騒ぎの上、桜餅を土産に帰って来ただけのことで、何の変哲もありゃしません」
「ところが変哲なことになったんだ、――その瓢々斎が昨夜死んだとしたら、どんなもんだ」
「えッ」
ガラッ八もさすがに胆をつぶしました。
早耳が何より自慢の自分が、少し間抜けにされたのはいいとしても、昨日あんなに元気で、百までも生きるような事を言っていた瓢々斎が、その晩死のうとは、全く夢にも思わなかった