Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
ヘンデルは「光とともに天才を失う」と嘆いたが、この嘆きはそのまま私にはわかる。バッハにしても、滝沢馬琴にしても、眼が見えなくなってからの精神的な苦しみは気の毒に堪えない。馬琴の口述を嫁のお路さんが泣き泣き紙に写したというが、最後の原稿である「八犬伝跋文」はひじょうな名文である。
私は口述をしたことがないので馬琴の真似をすることもできない。致し方のないことである。
私の専門は法律で、大学では牧野英一先生の弟子だった。私はその頃から法律が刑罰主義であるのに一種の反感を抱いていた。人間の世界には悪があるけれども、それを取締るのに刑罰ではなく、なにか新しい法律ができたらいいのに、という願いをいつももっていた。ただ罰することだけが犯罪の解決ではあるまいという気持が常に私にはあった。
探偵小説にしても『罪と罰』ではないが、なんでも罰することが主になっている。こういう刑罰主義への不満が私の「銭形平次」の寛大な裁き方になってあらわれていると思う。なんでも統計をとった人の話では私の捕物帳の七十何パーセントかは犯罪者を許しているそうである。その点では従来の捕物帳とはぜんぜん違っているといっていい。