Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.696 Zeichen · 310 Bildschirme
あまりの事に顛倒したのと、一家中毒の半病人揃いだったので、誰も死骸を屏風で囲うことさえ忘れたのでしょう。
三十四五の女が一人、机を持って来たり、線香を立てたり、時々はそっと涙を拭いながら、まめまめしく立働いておりました。
「あれは?」
眼顔で訊ねる平次に、
「下女のお越ですよ、十七年もここに奉公しておりますが」
主人の源吉は弁護がましくこう言います。
「…………」
振り返って目礼したお越の顔を見て、平次もなるほどと思いました。足が少し悪い上に、半面のあばたで、眼鼻立ちはそんなに悪くないのですが、これでは嫁の口も覚束なかったでしょう。十七年奉公する気になったのも無理のない事です。
平次は仏様を片手拝みに、そっと膝行寄って、顔へかけた手拭を取りました。
「フーム」
凄まじい相好ですが、美しさは一入で、鉛色に変った喉から胸へ、紫の斑点のあるのは、平次が幾度も見ている、「石見銀山鼠取り」の中毒です。
徳川時代の犯罪には、石見銀山は付きものでした。斑猫や鴆毒は容易に素人の手に入らず、山野の毒草は江戸の町では得難く、中毒死というと、一番先に考えられるのは、この石見銀山でした。