Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
平次の問いの気のきかなさ。
「それはもう、よく存じておりますよ」
鉄童は莞爾として手桶をおきました。
「お前さんはどう思いなさる」
「…………」
「誰が殺したか、見当ぐらいは付くだろう」
「その見当が付けば――」
鉄童は皮肉な微笑を浮べて、平次の腰のあたりを見るのです。「還俗して御用聞になる」とでも言いたいところだったでしょう。
「お小夜が殺されて喜んでいるものがあるだろう」
平次は我にもあらず愚問を連発しました。
「私も喜んでおりますよ」
鉄童の答えの意外さ。
「?」
「あれは法難でございました。――心を入れ換えたと言っても、お小夜殿はあの通り美しい。お師匠様のお側には置きたくない方でしたよ」
「?」
「上野の役僧が一人、お小夜殿のために寺を追われました。根岸の親分が一人、子分に見放され、千石取の旗本が潰れ、名題役者が一人首を縊りました。――外面如菩薩、内心如夜叉、――恐ろしいことでございましたよ」
鉄童はそう言って、目の前で数珠を振るのです。
「あの晩、お前さんはどこに居なすった」
平次の問いは唐突で乱暴でした。
「庵室に居りましたよ、――間違っちゃいけません。私には羅刹女を解脱させる法力はありません」