Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
銭形の親分さんなら、きっとそれができます。お願いでございます」
お美乃はたしなみも恥かしさも忘れて、精いっぱいに口説くのでした。
「ね、お前さん」
お静まで泣き声を挟みました。
「お前は黙っていろ。――ところでお美乃さん、もう聴いているだろうが、処刑は明後日の正午の刻だ。正直のところ、それまでに、小三郎を助ける見込みが立つかどうか、俺にも判らない。が、お前さんが、本当に小三郎が無実と思うなら――」
「それはもう親分さん」
「若い娘がそれだけ信用するなら、大抵間違いはあるまい。儲けずくでないから、お前さんの心は鏡のようなものだ」
「…………」
「ところで、お美乃さん」
「ハ、ハイ」
「お前さんは、小三郎をどんなことをしても救いたいと言うのだね」
平次の声には、激しい意図が潜んでおりました。
「え、どんなことをしても、どんなことがあっても」
「命を捨てても」
「命を捨てても」
「万人の前に恥をさらしても」
「え、万人の前に恥をさらしても」
お美乃は平次の言葉を復誦して、静かに顔を挙げました。涙に濡れて、少し腫れっぽくはなっておりますが、若々しい眼鼻立ちに、火のような純情が燃えて、日頃のお美乃には、見ることのできなかった美しさが人をうちます。