Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「兼松どんは江戸一番の正直者です。人なんか殺せる男じゃございません」

「すると、お狩場の四郎が忍び込んで、兼松の着物を着てお美代を殺し、その着物を井戸端の盥に漬けて行ったことになるが――」

「そんな事もあるでしょう、血のついた着物を着て、江戸の町は歩けません。お照さんの部屋で物音のしたのは、寅刻(四時)少し過ぎだったそうですから、もう外は明るくなりかけていたはずです」

「なるほどな」

平次は何かしら言い捲られたような形です。この柔和そうに見える男が、なんという結構な智恵を持っていることでしょう。

それから下女のお北に逢ってみました。在所は神奈川、年は三十、出戻りで不縹緻で、御飯を炊くより外には、あまり能はありません。

主人が立会って、奉公人達の荷物を調べ、店の帳面から、在金まで勘定すると、正直者と思われた兼松が、十二三両の費い込みがあり、金に困っていそうな谷五郎には、なんの非曲もなかったのも不思議です。

「フーム」

この事実は、主人の六兵衛を唸らせました。谷五郎に桜屋の身上を譲ってもよいような心持になったのでしょう。

もう一つの不思議は、下女のお照が、思いの外の大金を持っていることと、女子供には読めそうもない、むずかしい物の本を持っていることでした。