Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.244 Zeichen · 231 Bildschirme
雨がカラリと上がって、ピカピカしたお天道様が顔を出すと、グショ濡れの姿で江戸の町を――十九の娘が歩けようはずもありません。
お秀の家へ行くと、お秀は痒いところに手の届くような親切さでした。
「まア、ひどい目に逢ったのねエ、お勢ちゃん。気味が悪くなかったら、これを着てお出でよ。気に入ったら、お勢ちゃんに上げてもいいくらいなの」
そんなことを言いながら、お秀が自慢で着ていた、空色縮緬の単衣と、青磁色の帯とを貸してくれました。
お勢は好意に甘えるような心地で、濡れたものの乾くまで借着で間に合せる外はなかったのです。
「少し地味だけれど、よく似合うじゃないの。家へ帰って着換えして来るなんて言わずに、気味が悪くなかったら、そのまま着てらっしゃいよ。私はこの通り、同じ柄の新しいのがあるんだから――」
お秀はそう言って、自分のしめている同じ青磁色の帯を叩いて見せるのでした。空色の単衣に青磁色の帯は、紫陽花のような幽邃な調子があって、粋好みのお秀が好きで好きでたまらない取合せだったのです。
日が暮れきって、花火がポーン、ポーンと競い鳴る頃から、客が寄り始め、やがて月が河向うの家並を離れる頃には、十幾人の顔が揃って、大川を一と目の部屋に、酒と歓声が盛りこぼれました。